ITProにて、「保守を打ち切る」という中々男らしい?記事が掲載されている。

記事ではタイトルの通り、保守契約を打ち切ることで運用コストを減らすという事例を紹介している。たとえば、東京海上日動火災保険では求められる可用性が 99.8%以下のシステムについてハードウエア保守を打ち切り、99.9%以上のシステムについても冗長構成を取っている場合は年間保守契約を外すということで、年間で3億円のコスト削減を実現した。パソナでは、保守サポート期間が切れたオラクル製データベースを使い続けることで年間で数千万円のコストを削減したということらしい。

ハードであればスポットで十分ということもあるし、ソフトでも問題に対応できる能力があれば古いソフトでも構わないというのは理解できる。ただ、どこでもお薦めできる削減策ではなさそうだ。

保守を打ち切るというコスト削減策 – スラッシュドット・ジャパン

いわゆるミッションクリティカルな業務系のシステムでは利用者が多かったり、動くお金が大きかったり、必然的にシステム障害で失う信用やお金が大きい訳で、それなりに情報システムにお金をかけますし、ITベンダやSIerも頑張って色々とお金を使わせます。

IT技術者の立場としては、システムの規模もでかい事が多い訳ですし、適切な保守契約が無いと故障対応とかアップデートとかトラブルシュートとかのサポートが受けられない事そのものは重大なリスクであり、職責を果たす上で「サポートを受けない」と言う選択肢は取りたくない訳です。

つまりIT技術者側に、保守サポートを打ち切るとか、BCPの金をケチるとか、そんな事にチャレンジする動機を持つ事が少ないです。

そういう現場では経営層もITって金かかるモンだと言う認識があって、それなりにITの重要性を認識しちゃってたりします。

でもこのご時勢ですし、今更ながら「なんでこんなにITに保守コストがかかるんだ」とか、「現状維持するだけなのになんでこんなに投資がいるんだ」なんて事を収益部門や管理部門の人たちは当然思うわけです。

ただ、保守サポートを切る、切らないとか言う議論には、少なからず情報セキュリティの問題も絡んでくるんで、もし何かあったら責任とれるんですか的な論理が通りやすいです。

また、IT技術者は本音では、古い機器は壊れたら捨てて新しいの買った方が結果的に安上がりじゃんと思ってても、償却が終わってない機器を捨てる事は罷りならんとか、キチンと4年保守契約を結びなさいなんていう内規になってる場合もあります。

そういう意味では、保守契約を打ち切る、という手段でコスト削減を図るのは、男らしいと言えば男らしいし、クレバーだと思います。

正しくリスク分析が出来ていれば。

これが貧乏・ケチな現場では、初めから保守契約なんて考えてなかったり、リタンダンシー何それ旨いんか?的な感じだったり。

まぁ往々にしてそういう現場のシステムは規模が小さいんですが、最初から男らしい?生き方しか選択出来ない場合もありますね。

オラクルの保守、高いですよね。

貧乏な現場では、それこそ仮想化技術をフル活用して、8や9を延命している事でしょう。

とりわけWEBの世界では、ミドルウェアも自己責任でオープンソース、機械は壊れたら買う、と言う現場が割りと普通なんじゃないかと。

勿論ある程度の冗長構成とかバックアップの運用とかが前提ではありますけど。